思い出は桜のように綺麗だった

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2月の終わり頃、僕は1人外でご飯を食べていた。寒かったけど周りを気にしなくて言い分教室にいるよりマシだった。 親の都合で中途半端な時期に引っ越してきたためクラスに馴染めず居心地が悪かった。 自己紹介の時に目があった友達も一瞬で反らされてしまった。既に僕の事なんて忘れてしまったのかな...。 でも仕方ないのかもしれない 小学校の時の1ヶ月で別れてしまったのだから。 たった1ヶ月の記憶なんてむしろ残っている方が珍しいのかもしれない。 「し、信也君...」 「え!?..ゲホ!..ケホ」 名前を呼ばれる事なんて授業以外に無かったから予想してなくて食べてたご飯を喉につまらせてしまった。 「ごめんなさい!だ、大丈夫?」 「う、うん。大丈夫...」 慌ててお茶を飲んで苦しいのが収まったのでふぅと息を吐いた。 そして僕を呼んだ相手を横目で確認しようとするといつの間にか横に座っていて慌てて目を反らした。 「久しぶり信也君」 遠慮がちに挨拶してきたのは転校初日に目が あい反らされた相手だった。 「うん...久しぶり奈雪」 丹波 奈雪(たんば なゆき) 小学校6年生の4月~5月の一ヶ月だけど、とある場所で会っていた女の子。 奈雪が転校してすぐ僕も親の転勤でこの地を離れてしまっていたからもう会えないと思っていた。
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