思い出は桜のように綺麗だった

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最初はお互い緊張からなのか、よそよそしい会話から始まったけど話し出したら昔のように戻っていた。 「野球続けてたんだ」 「うん...。でもここではやるつもりは無いよ」 「何で?」 「だって、いきなり来た奴が野球部来たって迷惑でしょ?」 「そんな事...気にしなくて良いんだよ。だって私知ってるよ信也君が野球が好きなこと。誰かを優先するまえに自分を優先しなよ」 「...」 本当は野球を辞めたくない。でも転校する前に色々あったから新しい場所に飛び込んで行くのが怖かった。 「それに。今年の春高野球部の皆優しいから。そうだ!私が紹介するよ。友達に居るんだ信也君と同じく途中から野球部に入った人!絶対に気が合うと思うから」 「え...え!?」 この時、奈雪が居なかったら僕はきっと残りの学校生活を燻って過ごす事になっていたかもしれない。 大好きな野球を辞めて残りの人生を後悔しながら生きていく事になっていたかもしれない。 この日、僕に沢山の友達と野球が出来る居場所が出来た。 そして大切な人も変わらずそこにいて皆に囲まれる僕を見て笑った。
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