大人になっても

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大人になっても

「あ!綾乃と隼人君、2人で馬車に乗ってる~」  綾乃は嬉しそうに手を振っている。  隼人はぼんやりとこちらを見ている。 「んじゃ、私たちはそろそろ行こうか」  3人はそそくさとその場を後にした。 「2人に会わないように、ずーっと遠くの反対側に行こうよ!」 「そうだね」  イツキが頷く。 「最期にメリーゴーランド乗ったのいつ?」  話題もないので、ぼくはそんなどうでもいいことを聞いた。 「んーと、去年乗ったかな?」 「西原さんは女の子だから乗るか。イツキは?」 「小学生の頃。ヒカルと」 「ぼくもあれ以来だわ。恥ずかしくてもう乗れねー」 「これからどんどん、恥ずかしくてできないこと増えてくるのかな」  西原さんは少し寂しそうだ。 「俺はどんなに恥ずかしくても、やりたいことはやるよ。大人になっても、メリーゴーランドに乗りたくなった時は乗ると思う」 (……珍しいな。イツキが熱く語るなんて) 「素敵だと思う。ヒカル君は?」 「ぼくは……」  ぼくはどうだろう?
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