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嫌な予感
「俺の子供時代は最悪だったよ。
病気で皆が普通にできてることが出来ないし、学校もしょっちゅう休んでたし。性格が歪んでるから、色んな事が歪んで見えて辛いんだよ」
イツキはぼくの顔を見ている。
「知ってるよ? 性格直せよ?」
ものすごく、嫌な予感がする。
「全然素直になれないまま転校して、後悔したよ」
やめろ、やめろ、やめろ。
「パレード終わったよ、帰ろうか」
ぞろぞろと散っていく人だかりの中で、ぼくたちだけが止まったままだった。
「ヒカルは、本当の俺を受け入れてくたよね」
「受け入れてない」
「高校変えないで一人暮らしすることもできたけど、こっちに引っ越したのは、ヒカルとまた一緒に居たかったから」
イツキの言った言葉のすべてがぼくの頭の中を駆け巡る。
『好きだよ、ひー君』『リンネちゃんをとったのは、ヒカルが俺よりリンネちゃんを好きになると困るから』『じゃあ、俺も今日ヒカルが隼人くんとしてたこと、絶対に絶対に許さないから』
点と線が繋がる。
子供の頃と変わらない意地悪そうな笑みを浮かべて。
「……大好きです。
――もしもヒカルと愛し合えるなら、今ここで終わってもいいくらい、大好きです」
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