絶対に許さない

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絶対に許さない

「それよりお前、今日新しい彼女とイチャつきながら帰ってたろ? 見えてたぞ。あれ誰だよ?」 「誰だっけ。暇つぶしだから、よく覚えてないんだよね」  イツキは冷たく呟いた。 「極悪人……。コロコロ彼女変えてると、そのうち女たらしだって嫌われるぞ。せっかく転校して学校に馴染んだのに」 「別に嫌われても良いよ。あの子たちだって、たぶん本当の俺のことが好きなわけじゃないし」 「面倒くせえなああ。本当の自分てなんだよ。  初めからいないんだよ、本当の自分なんてもんは!……ていうか、イツキ、今日いつも以上に嫌な感じじゃないか?」 「悩んでる」 「何に?」 「全然、思い通りにいかないから」  目を伏せて、虚ろな表情のままのイツキを見ていると、心配になってくる。  罠や嘘だったことも多いのに、性懲りもなく。 「普通は思い通りにならないもんなんだよ。お前は思い通りになってる方だろ。……なあ、体調でも悪いのか?」  ポンと肩をたたく。 「ひー君。許してくれる?」 「何を」 「昔のこととか、全部」 「許さん!」  ぼくは、重苦しい空気が我慢できなくなった。  イツキは、あははと少し笑い。 「じゃあ、俺も今日ヒカルが隼人くんとしてたこと、絶対に絶対に許さないから」  狂気に澄んだ目をして言った。
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