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凶悪な幼馴染+登場人物紹介
「ひー君、アプリゲームの主人公の名前、リンネさんになってる。3組の子だよね? 好きなの? ねえ、好きなの? 好きな子の名前をなんで主人公の名前にするの?」
無慈悲な質問攻めをするのは、当時隣に住んでいた幼なじみのイツキだ。
4年3組のリンネちゃんは、毎日花に水をあげるような優しい性格の子で、スポーツもできて……まあ、顔が超絶可愛かったよね。
「……好きとかじゃない。い、従姉妹の名前つけたら偶然同じになっただけだし……」
「へー。ああいう子がタイプなんだ」
次の日、ぼくは衝撃的な場面を目にする。
「リンネさん、おれと付き合って下さい」
リンネちゃんは、王子様に求婚されたかのような喜びぶりで……。
そう、イツキは王子様のようだった。サラサラな黒髪で、手足が長くて、人気があった。
母さんも、他の男友達とイツキが来たときでは明らかに態度が違う。お菓子のグレードが違う。いつもはスーパーで買った100円のお菓子なのに、ケーキ屋のタルトなんて出してくる。
イツキはニヤ、と嫌な笑いを浮かべ、ぼくだけがそれに気づいた。
こうして初恋は終わった。
全てはイツキの思い通りになるーー。その後、小学5年生の夏にイツキはあっけなく引っ越していった。
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