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エピローグ
「咲夜、紅茶を淹れてくれる?」
「かしこまりました、少々お待ちを。」
夕暮れの空を眺めていたのは、この館の主であるレミリア・スカーレット。吸血鬼である。
「...やっぱり月もいいけれど、天敵(こっち)もいいわね...」
若干吸血鬼に産まれたことを後悔しそうになった。
夕暮れの陽は木々の影を揺らし始め、徐々に落ちて行く。
(影、か。もうちょっと影があったら私にも...)
「............?」
気のせいだろうか、影が人の形をし始めているように見えた。それはレミリア自身のものではなく、明らかに別の誰かだった。
「咲夜?」
振り返ってもそこには誰もいない。レミリアただ一人だ。
「何...?どういう事...?まさか、敵っ....」
絶望と驚きが隠せなかった。影から伸びてきた手に足首を掴まれたからだ。
(影だ。あの人型の影っ....)
そこには、何も残らなかった。
この出来事から、物語は始まった。
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