つわぶき

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つわぶき

九州の小倉に住んでいた時だから私はまだ小学校に入学する前のことである。 家の前には共同で使用する井戸があったのを覚えている。 私は掘炬燵に入っていた。どうしたことかズボンが燃え、私は左足にかなりのやけどをしてしまう。 しかし、貧しい暮しの中で私は一度も病院に行くこともなかった。 母もこの当時は父の借金に追われ、幼い子供の面倒を心ゆくまで見る余裕はなかったのか。 私の上には姉も兄もいたし、私の下には妹もいたのだから。 母はひどいやけどの私の足につわぶきの葉を貼ってくれた。 薬……軟膏などは買ってもらえなかったようだ。 今ではやけどの痕(あと)はほとんど残ってはいないが、ただの1回も医者に診てもらえないとは。 何ヵ月も痛かった?もうよく覚えてはいない。 つわぶきの葉はやけどによく効くのです。
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