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Tea Time
朝食のトーストが焼き上がったちょうどそのとき、携帯電話が鳴り出した。ディスプレイを見てみると、香澄の名前と電話番号が表示されている。こんな朝早くからいったい何事だろうと思いながら、僕は通話ボタンを押して電話に出る。
「もしもし」
「もしもし、光太郎?」
「うん、そうだけど。こんな朝早くにどうしたの?」
「依頼よ」
僕はその言葉に、
「ちょっと待って」
と香澄を制して、ペンとノートを取る。そして、準備を整えた僕は、
「いいよ。話して」
と香澄に伝えた。
「了解。今回の依頼内容は……実はまだわからないの」
依頼内容を書き留めようと待ち構えていた僕は、肩透かしをくらい、思わず、
「揶揄ってるのか?」
と、冷たく言い放った。だけど、香澄は真面目な様子で、
「揶揄ってなんかないよ」
と返してくる。
「どういうことなんだよ。わかりやすく説明してくれ」
「簡単に言うとさ、依頼人が光太郎に依頼内容を直接話したいんだってさ。だから、今のところ決まってるのは待ち合わせの場所と時間だけ」
「何だ、それは? 変な依頼じゃないだろうな?」
「わからないわよ。相手は話を聞いてみて、それから受けるかどうかを決めてくれて構わないって言ってくれてるけど。どうする?」
「まあ、とりあえず話くらいは聞いてみようか」
僕は答えた。
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