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私がその場からいなくなると、隊士たちは追いかけてきたが、その人たちを、燕が足止めをしていた。
高杉さんと岡田さんと少し走り、追っ手をまいたところで一旦止まった。
「はぁーここまでくりゃ大丈夫だろ。詩音、本当に大丈夫か?」
「・・・・・・なんで・・・?」
「ん?」
怒りと悲しみが込み上げてくる・・・。お礼を言いたいのに、それよりも、また裏切るんじゃないかっていう不安があった。
「なんで、私を助けたの?・・・・・・高杉さんたちだって、私を裏切るんでしょ?だったら、私は!!」
こんな私を、高杉さんは優しく抱きしめた。私は、この温もりを知っている・・・。まるで、一くんのよう。
「俺らはお前を一度たりとも裏切った事なんてねぇよ。あいつらと一緒にすんな。」
「もう・・・私に、優しくしないで・・・苦しいの。辛いの。また・・・あの時に戻るんじゃないかって。」
「ったく、少しは俺たちを頼れよ。・・・そろそろ走るぞ。」
今度は高杉さんに手を掴まれて、そのまま走った。私は、その時の曖昧な感情に思わず無心になっていた。
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