裏切られた吸血鬼

10/23
前へ
/86ページ
次へ
「なぁ歌奏(しいな)さんよ。」 坂本が、僕の事を呼んだ。聞く耳を持たなかったが、詩音が聞いておいてと言ったので僕は仕方なくその話を聞いた。 「わしゃあ、誰を信じるかなんて思っちゅういない。信じられないなら利用すればいい。だがな、ここにいる四人は、少なくともおぬしを裏切ったりはせんよ。おんしが・・・わしらを裏切らなかったようにな。」 『っ!!?』 なんで・・・そんな優しい言葉を言うんだ。僕は・・・僕らは、そんな事を言われる筋合いなんて・・・。 「私は・・・あんなに強くなるって決めてたのに・・・結局、誰かを頼ってばかりだ。・・・どうしてああなったのか知ってるなら、教えて欲しい。一緒にいるかは、それから決める。」 私は感じていた。何か裏があるんじゃないかって。そうじゃなかったら新撰組は・・・土方さんたちはあんな風にはならない。 でも、心の底から許そうとしない感情が湧き上がってくる。だから、もしかしたら傷付けてしまうかもしれない。 私が正常であるうちに・・・話して欲しかった。ここにいる四人を・・・・・・信じたかったから
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加