回想

7/9
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「先、シャワー浴びる?」  声を掛けると、清矢の背がびくっと震えたのを見逃さなかった。怖いんだ、俺と――男とセックスするのが。  それに気付いたら可笑しくなった。彼は強がっているだけで、本当は弱い。俺という存在を辱めて貶めて、それで自分の強さを感じ優越感に浸りたいだけ。  そう思ったら、すっと楽になった。まるで客とベッドを共にする時のように。 「俺はさっきシャワー浴びてるから、何だったらこのまましてもいいよ」  清矢の前に行き、彼のジーパンに手を掛ける。彼が怯んで一歩後ずさる。 「大丈夫、俺、慣れてるから」  自分で言ったその台詞にちくりと痛みを覚えながら、チャックを下ろし、パンツの中に手を差し入れて彼の茎を露わにする。汗で蒸れたそこから、雄の匂いがした。  ゆっくりと丹念に先端を舐めまわすと、少しずつ雄が大きくなっていく。  彼を見上げると、口を押えびくびくと身体を震わせながら、俺を見下ろしていた。 「ちゃんと、しろ……!」 「ちゃんとって、何?」  わざとだった。男だから、彼がどうして欲しいのか手に取るように分かる。  けれど、心の底に芽生えた嗜虐心が、彼の苦悶の表情を欲していた。 「こう、だよ!」  清矢は俺の頭を両手で掴んで一気に根元まで咥え込ませた。喉の奥に当たって、胃液が逆流して苦しくなる。 「苦しいだろ! 俺がイクまでだ!」  どうやら彼も俺を痛めつけたいらしい。だったら、俺はそれに応えるまで。  息苦しい中、彼の杭に舌を絡ませ、快感を早めるため強く吸い付く。 「ッ、あ……!」  喘ぎ声を漏らしたことに動揺し、彼は手を離した。しかし、俺はそのまま続けて彼の雄を執拗に責め立てた。  彼の身体が反応する部分を舌先で舐め取りながら、じゅるじゅるといやらしい音を立てて吸い上げる。 「あぁ……ッ!」  びくんと大きく反りながら彼は俺の口の中に白濁の生温かい液体を吐き出した。  まだ彼の茎に残る液体を吸い上げ、わざと喉を鳴らしてそれを飲み干す。俺を見下ろす彼は動揺の色を隠しきれないまま、荒い息を吐いていた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!