回想

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「気持ち良かった?」 「うるせえよ……!」  達したばかりで口ばかりしか抵抗できないほど脱力している。  俺は半分放心状態の彼をベッドの方に引っ張っていく。 「どうやって突っ込むか分かる?」  服を脱ぎ捨てながら、彼の方を見遣ると、顔が強張っている上に直立不動の状態。精神も肉体も、辱められているのは清矢の方なんだ、と思う、思い込む。  例え俺が自ら、初恋をこんな風に蹂躙しているのだとしても。 「……見てて」  俺はベッドに横たわり、彼に見えるように足を開いた。そして指を口に咥え指先に丹念に唾液を絡ませる。  清矢はただ呆然と俺を見詰めていた。この状況に興奮している俺は、きっと何処か可笑しい。  指をゆっくり蕾に挿し入れ、そこを拡げるように動かしながら指を二本、三本と増やしていく。次第にぐちゅぐちゅと淫らな水音が聞こえ始める。  彼の様子を観察していた俺は驚いた。彼は俺に、男に欲情して、再び勃起していたのだ。 「来て……挿入れて」  酒に酔ったのか、熱にあてられたのか、まるで何かの魔法に掛かっているかのように、彼は言葉に従ってベッドの上の俺に覆い被さった。  そして、彼をゆっくりと俺の中に誘導していく。  と、彼は欲望のままに、奥まで一気に貫き、腰を激しく揺さぶり始めた。 「いッ……あっ、あ、ん」 「気持ちいいのかよ、こんなことされて! ケツに突っ込まれて喘いでんじゃねえよホモ野郎ッ!」  奥の方まで無理に抉じ開けられて、肉が引き攣る。そして痛みと共に快感が全身をその渦に巻き込んでいく。
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