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翌朝、目が覚めたシャルロットはゆっくりと起き上がる。ブロンドの髪がはらりと肩から流れ、真っ赤な瞳で屋敷内を見回す。見た目年齢は6歳程度で、初めての成長にしては悪くない。
彼女達魔女は初めて目を覚ました瞬間から、言語やルール、自分の家や名前を知っている。
恐る恐る立ち上がって数歩歩くと、今度はキャラキャラと笑いながら屋敷内を走り回った。ひとしきり走り終えると、2階に駆け上がる。
迷うことなく左から2番目にある部屋に入った。
すぐ視界に入るのは立派な装飾がついた大きな鏡。両端には吊り下げラックが何列にも並び、色とりどりのワンピースやローブが並んでいる。壁には魔女特有のとんがり帽子が、こちらも色とりどりでかけられている。
シャルロットは服を手に取ると、それに合うような帽子を選び、魔法で自分の頭にのせた。鏡の前で服を自分の身体にあてがう。少し見たら元の場所に服と帽子を戻し、違うものを自分にあてがう。
シャルロットは小一時間ほどそうやってひとりファッションショーをやりおえると、ちゃちな生地で作られた黒いワンピース、こちらもちゃちな生地でだらしなく先が折れ曲がった黒のとんがり帽子を選んだ。
鏡の前で1周すると、シャルロットは満足げに笑った。
「うん、完璧ね」
シャルロットは街へ繰り出そうと階段を駆け下りる。
ちょうど屋敷の近くにいた魔女達は、シャルロットの駆ける音を聞いてどんな子が出てくるのかと注目する。扉は勢いよく開かれ、黒くみすぼらしいシャルロットが勢いよく飛び出した。
注目していた魔女は口元をおさえて笑ったり、シャルロットと一瞥してから去っていったりと、あんまりな反応だ。
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