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3時に破滅します
「お疲れ様です」
エレベーターに乗ってきた若き社長に秘書の柚葉は頭を下げた。
和光琢磨、和光グループの会長の孫だ。
実は、ちょっぴり付き合っていたのだが、この度、琢磨がかねてより話のあった政略結婚をすることになり、別れたのだ。
「どうだ。
もう彼氏は出来たか」
エレベーターの壁に背を預け、琢磨はそんなことを聞いてくる。
「別れて三日後に新しい恋人が出来るような要領のいい人間なら、生まれて初めて付き合ったのが、貴方なんてことはないですよ」
男友だちはいたが、彼氏というものには縁がなく、初めて出来た彼氏がこの琢磨だったのだ。
なんてついてない、と柚葉は思う。
そうか……、と俯き言った琢磨は、一瞬、笑ったが、すぐに物悲しげな顔になる。
そんな顔はズルいですよ、社長、と思っていると、
「柚葉」
と呼びかけ、琢磨が近づいてきた。
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