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俯いていた女がびくりとする。
確か経理のちょっと仕事の細かい、若いのに、地味な女性だ。
「坂上さん、殺したのは、あなたですっ!」
とその女に向かい、柚葉は言った。
琢磨と汐田と警官たちが同時に叫ぶ。
「なんでだっ!?」
「だって、この人、死んだ男の人を見て、ホッとしたような顔して笑ってたんですっ。
最初は、殺されたのが産業スパイで、罪のない一社員ではないと知っての表情かと思ってたんですけどね」
「いや、産業スパイだからって、死んでいいわけないだろ」
と琢磨は言うが。
いや……、貴方が言ったんですよ。
だったら、死んでいいなって、と思いながらも、柚葉は続けた。
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