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「それで、今、坂上さんがいる辺りをふんわり指差して叫んだら、ビクッとしてたから」
「あてずっぽうかっ」
と琢磨が叫ぶ。
「いや、この人です。
わかります」
と坂上に近づいた柚葉は彼女の手をとり、言った。
「騙されてるんじゃないかって、ずっと不安だったんですよね?
殺して、ようやく、ホッとしたんですよね?」
どうやら、坂上は、産業スパイだった男に利用されていたことに気づき、殺したようだった。
坂上が薄く笑っているのを見ただけで、彼女に共感し、その心の内がわかった柚葉に琢磨が怯える。
「……お前もか」
自分も殺されるんじゃないかと思ったようだった。
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