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今の声が聞こえたらしく、
「産業スパイだってよ」
「あ、俺、あいつ知ってる」
「じゃあ、そういう関係で殺されたわけ?
犯人は機密事項持ち出された、うちの社の人間とか?」
「いやいや、仲間割れか、口封じかもしれないぞ」
驚く人、興味津々な人、怯える人。
殺されたのが産業スパイであって、罪のない一般人ではないと知ってか、安堵の表情を見せる人。
いろいろだった。
「困ったことになったな」
と琢磨は呟く。
少し離れた位置に移動し、汐田と三人で、エレベーターの前の死体と人垣を眺めていた。
「このままではお前の立場がまずくなるな」
と琢磨は柚葉のことを心配してくれる。
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