7人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「へぇ。でも何でそれが父ちゃんのだってわかったんだ?」
アシェルの問いにクープが必死な様子で訴えた。
「傷だよ。父ちゃんが出発する時に俺、ヴァイオリンに傷をつけちゃったんだ。表面の下の方にそれがあったから父ちゃんのヴァイオリンに間違いないのに返してくれないから・・・。」
「当然だ。出どころはどうあれシュルツはちゃんと金を払って仕入れてきたんだろうからな。」
そう言ったレビィをクープが睨みつけた。
「でもあれは俺の父ちゃんのだぞ?」
「父ちゃんのでもじいちゃんのでもシュルツだって商売だ。あれだけの品物をタダでどうぞってわけにはいかない。」
「そうよ。それに本当は金貨6枚だけどクープなら3枚でいいって言ってくれてるのよ?母さんが何とか買い戻せるようにするからもう二度とあんなことはしちゃダメよ。」
シンシアが諭すもクープは口を尖らせて反論する。
「その間に売れちゃったらどうするの?」
確かにその通りでクープが焦るのも無理はない。
もちろん、だからと言って泥棒していいという理屈にはならないが。
最初のコメントを投稿しよう!