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背後で男が大声で叫んだ。
「誰かその子を捕まえてくれ!」
アシェルとレビィが振り向くと1人の少年が人々の間をすり抜けて物凄い勢いでこちらへ走ってくる。
その腕にしっかと抱き締められていたのは一台のヴァイオリンだ。
「それは店のヴァイオリンなんだーっ!」
ガシッ!!
その声を聞いたアシェルがすぐ横を走り抜けようとした少年の襟首を掴んだ。
すかさずレビィがヴァイオリンを取り上げる。
「何するんだ!返せ!離してよっ!!」
少年はアシェルに捕らえられたまま精一杯ヴァイオリンに手を伸ばした。
レビィはじっくりとヴァイオリンを見つめてから少年に視線を向けた。
「これはいい代物だ。お前、見る目があるな。」
「返せ!返せよ!!」
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