一生の不覚

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その時。 アシェルが満面の笑みを浮かべていきなりシュルツと肩を組んだ。 「いっやぁ、ありがとう!いい芝居だったぜ!」 レビィもクープの頭をポンポンと撫でながら感心したように言った。 「シンシアさんとクープも迫真の演技だったな。」 シュルツとシンシア、そしてクープはわけがわからずに立ち尽くした。 アシェルは野次馬達に向かって声を張り上げた。 「皆さん、我々は旅のヴァイオリン弾きです!皆さんに集まって頂く為にこの3人にひと芝居打ってもらった次第です!」 レビィも大声で言葉を継ぐ。 「お騒がせしたお詫びとご挨拶に、まずは一曲。」 2人はいつの間にか手にしていたヴァイオリンを奏で始めた。 ラナシアに古くから伝わる『大地の歌』。 大地の恵みへの感謝の歌だ。 誰もが思わず聞き入ってしまうほど美しい音色だった。 曲が終わると大きな拍手が起こった。 「ありがとうございます!今日の午後3時より河畔公園で演奏させて頂きますのでお時間がある方はどうぞお立ち寄り下さい。」 アシェルが付け加えて2人でお辞儀をするともう一度拍手が聞こえ、「あの子、なかなか役者だな。」とか「絶対に聞きに行くわ。」とか口々にいいながら野次馬達は立ち去った。
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