エピローグ

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そして、更に15年の歳月が流れたその日。 煉瓦造りの3階建ての建物の前に2人の男性が佇んでいた。 30代後半となったクープと、教え子でありアシスタントでもある20代半ばの青年マーチンだ。 クープは感慨深げに建物を見上げた。 マーチンは赤毛を風に揺らしながらそんなクープに話しかけた。 「先生、いよいよですね。」 「ああ。明日、残りの建設費を支払うと同時にこの建物が引き渡される。国への働きかけなど随分時間がかかってしまったがようやく実現できた。まるで夢のようだよ。」 建物の出入口にはこんなプレートがかかっていた。 『国立ラナシア音楽院』 「音楽は人の気持ちを癒し豊かにする。私は経済的なことを気にせずに、望めば誰でも学べる学校を作りたかったんだ。学び、成長する喜びをたくさんの子ども達に味わってもらいたい。」 「はい。僕も先生に応援して頂き、おかげでヴァイオリニストとしての道が拓けました。この学校ではピアノやトランペット、その他にもたくさんの楽器を無料で学ぶことができる。より多くの子ども達がそれぞれの夢を見つけてくれるでしょう。そのお手伝いができてすごく嬉しいです。」 「私も君がいてくれるととても心強い。これからもよろしく頼むよ。」 「はい!」 マーチンは希望に満ちた瞳で大きく頷いた。
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