1センチメートルと恋

《１》

　発症から高校2年生になった今日まで、私が調べた私に関する調査の結果は以下の通りとなる。

①宙に浮かせられるのは1センチまで。それ以上はどんなに念じても不可。1センチより狭ければ調整可。(おそらく。細すぎてよくわからないけど)

②極端に重いものは不可。自分の体、本来の力で持ち上げられるものが限界。

③まとめて複数のモノを浮かすのは不可。1つ、見えているモノのみ。

④スタートは必ず浮かせたいモノが地面(平面)に接地していないと不可。上から降ってきたものを地面から1センチのところで止める、なんてことは出来ない。

⑤モノ以外の、人などを浮かせるのは不可(動物含)

　これらの結果からわかるように、自殺者が降ってきたのをギリギリで止める、とか、トラックに挟まれた人を持ち上げて助けるなんて言うことは無理だった。

　せいぜい、暇な授業中に消しゴムを浮かせて遊ぶ程度である。

　幼稚園のお遊戯会は、志願して村人Cの私だ。この力を使って目立ちたいなんて到底思っていない。

　それでも。

　オリンピックで金メダルを取ったあるアスリートは、メダルが確定してすぐのインタビューで、この瞬間のために生まれてきた、と言っていた。私にも、この力が何かの役に立つ、そんな日が訪れるのだろうかと考えてしまう。