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天井のスピーカーから、放送部のミスを謝るアナウンスが聞こえてきた。
「あーあぁ、どれが無事だ?」
大きなゴミ袋を抱えて急ぎ足でこちらに来た彰人先輩は、見事に金色に染まった机上を眺めて言った。制服にペンキがついてしまった部員もいるようで、現場は大混乱だ。それなのに私の心は静まり返っていて、
「先輩、これ。これだけ無事です」
私が1センチだけ浮かせたその願い事の紙だけは、金に染まらず真っ白のまま、私の掌に収まっていた。
「救出しました」
その瞬間を見ていたのは私と、きっと京ちゃんだけ。
「お、よくやった」
紙を持った掌をいつまでも広げたままの私に、先輩が不思議そうな表情をする。
「私、ペンキが付いてないか確認したいんで、ちょっと先輩持っていてもらえませんか?」
「おぉ、そうゆうことか」
そう言って先輩は手を伸ばし、私から2つ折りのその紙を受け取った。
私と彰人先輩の手が、紙を通じて一瞬だけ繋がって、離れた。
その瞬間、私は猛烈ダッシュで廊下へ出る。
彰人先輩が私から受け取った紙には、こう書いてある。
《クラスメイトの変人部長さんと、ファイアーストームの火が消えるのを見届けたい 御園真理》
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