《1》

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 部室のドアを開けると、上半身をアルミホイルで覆った彰人先輩が立っていた。 「何やってるんですか?」  大川高校北棟3階、廊下を進んで行き止まり。そこが、我が超常現象研究会の部室だった。 「何って、UFOを呼ぶ儀式に必要なんだよ」  彰人先輩の隣に立つ1年生の山下くんが、必死にアルミホイルを取り出しては彰人先輩の体に張り付けていた。 「世界各国、過去の成功事例を分析した結果、このアルミホイルのスタイルが1番効果的だと結論が出たんだ」 「部長、文化祭の準備は?」  私の隣に立っていた京ちゃんが、敢えて彰人先輩のことを部長と呼んだ上で、冷めた視線を送る。彰人先輩の表情が、さっと変わる。 「それは、ほら、うん。今やります、はい」  ツチノコに関する新聞記事とホラーDVDの山、海外の怪しいお面。何故かある人工模型。雑多な荷物の中が溢れる部室にはエアコンがなく、夏休みが終わったばかりの今は窓を全開にしないとやっていられない。 「加納先輩、どうします、宇宙人来ちゃったら」  彰人先輩の脱け殻を回収しながら、十分に肉付きが良い体を小さく揺らしながら、山下くんが私に言った。 「うーん、そうだなぁ」  目の端に、すごすごとシャツを羽織る彰人先輩の姿が見えた。 「あ、これは信じてない声ですね」  他の部員の誰よりも彰人先輩の意思を引き継ぐ山下くんは、オカルト全般を盲信している。 「いやいや、信じてる信じてる」  背負っていたリュックを机の上に置きながら、私は苦笑いでそれに応じた。 「前から思ってたんですけど加納先輩って、あんまりこうゆうの興味なさそうですよね。そもそも何でこの部活入ったんですか?」    それは、私が超能力者だからだ。
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