5. 飛翔

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 表彰台では、優勝トロフィーと日の丸を掲げた暁が満面の笑みで会場の声援に応えている。  暁は大スター。  舞は、離れたところから見守った。  様々な妨害工作を乗り越えて掴んだ優勝。  暁がトロフィーに負けないぐらい輝いている。 「暁、本当に良かった」  自分の存在が迷惑なだけだと思っていたけど、そんなことを思わず励ましてくれた暁が、今、世界中から称賛を浴びている。 「なんだか、遠いところの人になっちゃったかな」  でも、明日になればまたいつもの笑顔で話しかけてくれるだろう。 「またキノコ汁でもごちそうになろうかな」  これからはベニテングダケを愛せる気がする。  そんなことを考えながら一人で観ていると、背中をドンと押された。  誰がぶつかってきたのだろうと思いながら、その顔を見た途端に血の気が失せた。  咲夜だ。恐ろしい形相で睨んでいる。 「咲夜……。どうして……」 「あいつ、許せねえ」 「あいつって、暁のこと?」  咲夜は怒りで唇が小刻みに震えている。  暁が、マイクで喜びを伝えている。 「チームアカツキの皆と大切な人に、今の喜びと感謝を伝えます」  暁の視線が会場の舞を探している。  咲夜が暁に直接何かする気だと直観した。舞は必死に止めた。 「お願い! 暁の晴れ舞台を邪魔しないで!」 「うるさい。黙ってみておけ」  進もうとする咲夜を止めようと、前に回って立ちはだかった。 「邪魔だ! どけ!」 「キャッ」  強く突き飛ばされて、地面に倒された舞は、頭を強く打って意識を失った。
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