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小春が咲夜の事件を担当した弁護士を連れて、機体の近くにいた晴朗のところにやってきた。
「社長、弁護士の新垣先生がご到着です」
晴朗は振り向き、弁護士に挨拶した。
「新垣先生、お待ちしていました」
「道が混んでいて、遅くなりました」
舞も世話になったので頭を下げた。
「よろしくお願いします」
「下田咲夜はどこにいるのかな?」
「一般用の立見席です」
「早速、警告に行ってこよう。御空さんはここにいたほうがいい。相手が興奮して話がややこしくなってもいけない」
晴朗、小春、弁護士が向かおうとしたところを頼んだ。
「私、彼に確認したいことがあるんです」
晴朗が目的をすぐに察した。
「スモーク装置のことだろ? それも、先生に頼むから任せておきなさい」
「よろしくお願いします」
咲夜が何をするか分からないし、実乃梨の行動も読めない。
すべてを大人たちに任せて、ハンガーで待つことにした。
晴朗と弁護士、小春がすぐに戻ってきた。
舞は、心配でたまらず聞いた。
「どうでしたか?」
「なんで観られないんだとかなり喚いていたが、おとなしく出ていったよ。連れの女の子もね」
良かった、と、胸をなでおろす。
「スモーク装置について、何か言っていましたか」
「何のことかわからないと答えていた」
「そうでしたか」
「素直に認めるとは思えないから、想定内の答えではあるな」
暁が弁護士に提案した。
「スモーク装置をとってあるので、彼が触ったかどうか調べてもらえませんか?」
「では、あとで預かりましょう。それを警察に提出して調べてもらえれば、誰がやったかすぐわかる」
それを聞いた小春が青ざめて挙動不審になったことに、晴朗は気づいた。
「月船君、体調でも悪いのか?」
「いえ、大丈夫です」
小春は、ファイルで顔を隠した。
暁は、表情のさえない舞を心配した。
「舞、いろいろ心配だろうけど、全部、新垣先生に任せればいいから」
「いいえ。舞は大丈夫」
気丈にふるまった。
「ラウンド・オブ8 開始します」
アナウンスが流れて、ラウンド・オブ8が始まった。
今度は、1機ずつコースを飛んでいく。
敗者復活で参加の暁は、順番が最後なので長く待機する。
どの機体も順調に飛んでいくが、少しずつ天候が悪くなってきた。
突風にあおられたエアプレーンがふらつくたび、観客から悲鳴とどよめきが聴こえてくる。
その代わり、気持ちよく曲飛行が成功すれば歓声と拍手となる。
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