5. 飛翔

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 小春が咲夜の事件を担当した弁護士を連れて、機体の近くにいた晴朗のところにやってきた。 「社長、弁護士の新垣先生がご到着です」  晴朗は振り向き、弁護士に挨拶した。 「新垣先生、お待ちしていました」 「道が混んでいて、遅くなりました」  舞も世話になったので頭を下げた。 「よろしくお願いします」 「下田咲夜はどこにいるのかな?」 「一般用の立見席です」 「早速、警告に行ってこよう。御空さんはここにいたほうがいい。相手が興奮して話がややこしくなってもいけない」  晴朗、小春、弁護士が向かおうとしたところを頼んだ。 「私、彼に確認したいことがあるんです」  晴朗が目的をすぐに察した。 「スモーク装置のことだろ? それも、先生に頼むから任せておきなさい」 「よろしくお願いします」  咲夜が何をするか分からないし、実乃梨の行動も読めない。  すべてを大人たちに任せて、ハンガーで待つことにした。  晴朗と弁護士、小春がすぐに戻ってきた。  舞は、心配でたまらず聞いた。 「どうでしたか?」 「なんで観られないんだとかなり喚いていたが、おとなしく出ていったよ。連れの女の子もね」  良かった、と、胸をなでおろす。 「スモーク装置について、何か言っていましたか」 「何のことかわからないと答えていた」 「そうでしたか」 「素直に認めるとは思えないから、想定内の答えではあるな」  暁が弁護士に提案した。 「スモーク装置をとってあるので、彼が触ったかどうか調べてもらえませんか?」 「では、あとで預かりましょう。それを警察に提出して調べてもらえれば、誰がやったかすぐわかる」  それを聞いた小春が青ざめて挙動不審になったことに、晴朗は気づいた。 「月船君、体調でも悪いのか?」 「いえ、大丈夫です」  小春は、ファイルで顔を隠した。  暁は、表情のさえない舞を心配した。 「舞、いろいろ心配だろうけど、全部、新垣先生に任せればいいから」 「いいえ。舞は大丈夫」  気丈にふるまった。 「ラウンド・オブ8 開始します」  アナウンスが流れて、ラウンド・オブ8が始まった。  今度は、1機ずつコースを飛んでいく。  敗者復活で参加の暁は、順番が最後なので長く待機する。  どの機体も順調に飛んでいくが、少しずつ天候が悪くなってきた。  突風にあおられたエアプレーンがふらつくたび、観客から悲鳴とどよめきが聴こえてくる。  その代わり、気持ちよく曲飛行が成功すれば歓声と拍手となる。
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