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 5分の距離なんて、あっという間だった。会社が独身者用に借りてくれているワンルームマンションに到着してしまった。  もっと話していたい、もっと一緒にいたい、男性に対してそう思ったのは初めてだったかもしれない。 「じゃ、今日はありがとう!」  そう言って、私の貸してあげた傘を差して帰って行く北川さんの後ろ姿がだんだん小さくなっていく。何で私はこんな会社の近くに住んでいるんだろう。もう少し、せめて駅まで、私もあの傘と一緒に北川さんと歩きたかった、ふとそう考えている自分がいた。
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