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 お店を出ると、煙るような霧雨が降り出していた。時期的に仕方ないけど、やっぱり雨が多くて嫌になる。  北川さんは大きな傘をパッと開き、「入って」っ恥ずかしそうに言ってくれた。なんか頬が赤い?同じ傘に入ると思うと、私の頬も急に熱を帯びてきた。鬱陶しい天気も、相手次第で素敵になる。  鞄の中の折りたたみ傘は思い出さなかった事にして、北川さんのかざしてくれた傘に入る。  並んで歩く二人の間の距離は昨日と違う。それが恋の始まりを感じさせてくれた。 〈end〉
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