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 仕事に集中していたら、いつの間にか3階の設計部は人もまばらになり、所属する住宅課は私を除いて皆帰ってしまっていた。設計部はフレックスタイム制度が導入されており、こういう事はたまにある。  私も帰ろうかな。窓の外は最近の同時刻よりも数段暗く、今にも雨が降り出しそう。今なら雨に降られずに家まで帰れるかもしれない。  その時、設計部に慌てて飛び込んで来た人が、そのまま住宅課まで小走りにやってきた。 「お疲れ様。竹中さん、いる?」  相当急いで来たらしい。息を切らせながらそう聞いてきたのは、営業三課の北川敦也(きたがわあつや)さんだ。高藤(たかとう)課長率いる営業三課の三人はイケメン揃いで仕事が出来て、とにかく三人三様にカッコイイ。北川さんは、ちょっと中性的というか綺麗なお顔立ち。サラサラの髪の爽やかな感じの人。こうして息を切らせている姿でさえ、なんか様になる。 「竹中さんなら、10分程前に帰られましたよ。」  私の返事に、北川さんは大きく落胆し、ヘナヘナと私の隣の席に座った。
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