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「10分前?!ホントに?」
「そうですね。その時ちょうど時計を見ましたから、間違いないですけど?」
私の返答は、北川さんを更に落胆させてしまったようだった。
「えぇー?酷いなぁ、何回も電話したのに。30分位前なら、まだいたんでしょ?竹中さん。」
「あ…そうですね、いらっしゃいました。」
30分前、という北川さんの言葉で、あれがその電話だったのだと思い当たった。何度もバイブレーションの音がしていた竹中さんのスマートフォン。「鳴ってますよ?出ないんですか?」って聞いたら、「うん」って軽く返事されて。きっとご家族とかプライベートの電話で、後でかけ直すのだろうと思ったのだけれど。どうやらあれが北川さんからの電話だったらしい。
「設計部にも電話したんだけどなぁ。席外しっていうから、折り返し頼んだんだけど。」
竹中さんのデスクの電話にはメモが付けられていた。あれがそうなんだろう。
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