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 変更が終わり、データを慎重に新規保存にした。プリントアウトしようかと思ったタイミングで、ちょうど北川さんが戻ってきた。手には販売機の紙コップを持っている。 「川瀬さん、ありがとう。良かったらこれ、温かいうちに飲んで。」 「ありがとうございます。いただきます。」  一口飲んで驚いた。カフェオレで、しかも砂糖無し。私の好みにドンピシャだけど、何で分かったの?聞かれていないのに。  私が驚いた気配に、北川さんも驚いてしまった。 「あれっ?好きなんだよね?カフェオレの砂糖無し。違った?」 「違ってませんけど…。何でご存知なのかと思って。」 「ああ、さっきね、課に戻ったら藤崎さんがいたから。同期で仲が良いから知ってるだろうと思って聞いたんだ。」  ちょっとしたことだけれど、こういう気遣いをしてくれる人は少ない。私だったら、精々、適当に無難な物を二つ買ってきて「どっちが良い?」って選んでもらう位だと思う。私の為にとわざわざ買ってきてもらったカフェオレは、不思議といつもより美味しい気がした。
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