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まるで赤子のように
人はこの世に生を受けてからしばらくは自立した生活ができない。
親や周囲の人達に助けてもらいながら成長していく。
では、高齢者はどうだろうか?
テレビで100歳以上の元気な高齢者が出演していたりするが、それはごく一部の限られた人であって現実はそう甘くない。
グループホームや有料老人ホームなど自立して生活ができている高齢者もいれば、自宅などでの生活が難しく特別養護老人ホームなどの施設で寝たきりの生活を送る高齢者もいる。
僕は、この本のタイトルである10年間介護老人保健施設、特別養護老人ホームで介護士として働いていた。
施設を利用している高齢者の中には自立した生活をおくる方もいれば、寝たきりの方もいる。
寝たきりの生活を送られている方には食事介助やオムツ交換など、言葉は適切でないかもしれないが、まるで赤子のように多くの介助が必要だ。
施設に勤務していると、朝、昼、夕、就寝前と介助に追われる。
食事介助やオムツ交換など、忙しい日々の中でふとした瞬間に施設を利用している高齢者と重なって見えたのが産まれたばかりの長女だ。
自宅では長女のオムツ換え、職場では高齢者のオムツ換え。
この日々を送るなかで施設利用者に対して「赤ちゃんでもあるまいし、大人として情けない」っと言う感情がわいてきてしまったのです。
この感情は、後に介護職から離れるきっかけの一つとなるのです。
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