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「日曜日、松井の家に挨拶な?」
車を運転しながら太陽が話す。
「うん、その後、志津子さんとこね?」
「夜来いとか、どんだけ仕事人間なんだ、あの人は…。」
「でも、味方してくれたんだし。たいちゃんの性格に文句言ったら、女の子泣かせるなんて悪い男ねぇって。嬉しかったよ?」
「どんな悪口だよ…。ほんと、勘弁してほしいな。松井の家にも顔出しにくい……。なんか、恥ずかしいし……。言葉が出てこない気がする。」
「でもおばあちゃんは、たいちゃんが迎えに来た時からそうなったらいいなって思ってたって…。そう考えると……。」
「考えると?」
「これは運命だね?」
「はぁ?ポジティブだなぁ。」
「たいちゃんのおかげですぅ。綺麗な月子はたいちゃんの運命の相手。
いい響きだ。これから一生探してもいないよ?こんな可愛い子。」
「自分で言うな!ほら、着いたぞ。お弁当。」
「ありがと。行ってきます。」
車から降りて、月子は不安な顔で太陽に聞く。
「まだ、迷ってる?月子、妹のままに近い?」
「月子が!大事だよ。おねだり聞いちゃうくらいな?
嫌なら早めに言えよ?挨拶終わったら、入籍しちゃうからな?
行ってらっしゃい。変な男に気をつけろ!」
「望むところだよ!」
ドアを閉めて、ゆっくり動き出す車を月子は見送る。
赤い顔で、幸せそうに…。
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