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羽瀬 月子
六月になり、相変わらず月子は大学と料理教室に通う日々。
梅雨に入り、足が痛む事も増えてきたので、乗り換えの駅まで朝は送って行き、帰りも迎えに行く。
今は、他人の送迎……。
「月子ぉー。遅刻するぞ?」
階段下から声が聞こえる。
「はい!今、行く。」
「慌てないで降りろ?」
「ねぇ、たいちゃん、これどう?似合う?」
最近、色々な髪型に挑戦中だ。
イヤリングも付けた。
「……満員電車で引っ掛けないか?」
「そういう事聞いてないし!満員電車じゃないし!」
膨れて返す。
「最近、お洒落ですねぇ……。行きますよ?」
前を歩く太陽の腕を掴む。
「当たり前でしょ?未来の旦那様の前では綺麗でいたいでしょ?」
「………大学出てからでよくない?」
ボソッと太陽は呟く。
「もう……決めたでしょ!羽瀬に戻るの!羽瀬 月子!籍だけでもジューンブライド!絶っ…………対!譲らないから!」
「はいはい。分かりました。行きますよ。」
「はぁい…。」
玄関を閉めて、二人で出掛けた。
変わらない光景……二人の心が少し変わった。
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