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おばあちゃんの心配する顔は見えていた。
でも、どう頑張っても食べ物は喉を通らない。
だんだん、力が抜けていく……何にもしたくない…お絵描きもしたいと思わない。
お母さんとお父さん、たいちゃんの笑う顔だけが浮かぶ。
その時、月子には太陽の声が聴こえた気がした。
顔を上げて、そこに太陽の姿を見た。
目を擦り、目がおかしいのかと思った。
本物の「たいちゃん」がいた。
わがままを言った。
言っていいと言われていたから、帰りたいと、太陽が、自分がいたら邪魔だと知っていたし、迷惑だろうと何処かで分かっていた。
それでも、帰りたい。
そこからはずっとたいちゃんと一緒。
指を繋いだ時から、たいちゃんは月子の太陽。
二人での生活が始まって、寂しい時もあるけど、たいちゃんは絶対、帰って来る。
月子が呼べば、来てくれる。
月子の太陽。
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