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小学四年生
太陽は大学三年生になると、司法予備試験というのを受ける事にした。
それからは猛勉強の日々、それでもご飯はちゃんと作ってくれた。
月子も小学四年生になって、土曜日の夕食は月子のお仕事になった。
太陽が遅くなる時は一人でお留守番も出来るようになった。
最初の頃はお母さんの遺してくれたレシピを見ながら料理をした。
そのうち、テレビの料理番組を見たり、本屋さんで立ち読みした料理を作ってみたり、家庭科で習った料理を作ったり。
太陽はいつも美味しいと食べてくれるので、作るのは楽しかった。
四年生の夏休み、うちに女の人が訪ねて来た。
大学の休みは八月からで、七月の終わり、太陽は大学に行き、一人で留守番をしていた。
インターホンが鳴り、鍵は開けずに、インターホン越しに返事をした。
「はい。」
「ごめんください。月子ちゃんだよね?太陽いる?」
女の人の声。
なんか嫌だなぁ…と思う。
でも、すごく気になる。
気になるけど、ひとりの時は玄関を開けない…これもお約束だから開けられなかった。
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