1064人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
ばいばい
三人で出掛けた帰り、それは突然に来た。
目の前に車が見えた。
大好きな両親が消えた瞬間。
目が覚めていない事に不安になる。
泣き叫び、お父さんとお母さんを呼んだ。
ただ不安……顔が見れたら安心する。
祈るような気持ちで呼んだ。
「たいちゃんだよ!」
大きな声がして目の前に太陽がいた。
(たいちゃんがいる。)
それだけで少し安心した。
お父さんとお母さんはと、聞いたけど、あまり覚えていない。
たいちゃんはちゃんと、お父さんとお母さんの所に連れて行ってくれた。
それははっきりと覚えている。
今にも笑ってくれそうなお母さんと、お父さん。
たいちゃんは、
「カッコいいお父さんを覚えてて。」
と言ってたけど、月子には優しくて暖かいお父さんだ。
それからの月子は太陽が来るのを待っていた。
あまり顔を出してはくれなかった。
それでも来た時は笑顔で、いつも美味しいお菓子を持って来てくれた。
二人で半分個して食べた記憶がある。
変わってしまった中で、ただ一つ変わらないもの。
それが太陽の笑顔だった。
最初のコメントを投稿しよう!