あのドア

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あのドア

 彼女を自分の部屋に入らせたのは、ある種の罰に当たる。  彼女には初めてこのアパートに来た時に「このドアは開けてはならない」といった。それ以外は自由にしてもらって構わないし、どこを使ってもらってもいい。ただ、あのドアを開けなければいい。それだけのことだったのに、彼女は開けてしまった。  とてもいい子だったし、口約束でも破らないだろうと、彼女のことをよく知らないうちに過信していた。
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