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第２話 離婚開会式！
「またかよ！お前これで何回目だよ！前のワールドカップでも日本負けた時離婚するとか言ったじゃねえか！いい加減にしろよ！」
「アンタ自分の言ったこと覚えてないわけ？あんときも『日本はハリルをクビしたせいで負けるとか言われてる。だけど俺今の日本はヤバいぐらいイケると思う。本田や長友を俺は信じる！いやマジで優勝するね。学校で習ったべ、日露戦争ってのを！あれで日本はロシアをボッコボッコにしたんだ！日本は実はロシアと相性がいい！イケる！日本は優勝するだから今度こそ俺たちのベイビー作ろうぜ』って！それで騙されてあん時もサムライブルーとか言って全身青に塗りたくって、顔にサッカーボールのペイントして、しかも頭にトロフィーなんか被ったりして大恥だった！アンタは懲りもせず『今度こそイケる！もう東京五輪は日本一人勝ちでしょ！オール金メダルじゃん！だから早くオリンピックベイベーを作ろうぜ！生まれたベイベーの名前は2020トキオだぜ！』とか言って、その気になってた私がバカだった！アンタが全種目金メダルだとか言ってた東京五輪は、まさかの全種目ノーメダル！しかも順位全種目全部ダントツのビリ！人をバカにするのもたいがいにしろよ！バカ丸出しで『だって地元開催だぜ！俺達が盛り上げねえでどうするよ！』とか言って騙してこんな格好までさせて！もう二度目の大恥じゃない！人を晒し者にして！離婚するから今度のオリンピックはアンタ一人で恥を晒しなさいよ！」
二人の格好は確かに凄まじかった。東京五輪特製の頭傘には日本国旗を模したペイントがされていてその赤地の丸の部分に『I LOVE NIPPON 全種目金メダルおめでとう！と黒字で書かれていて、さらにはほとんど全裸で殆ど東京五輪のエンブレムがペイントされており、そして大事なところはやっぱり金メダルをつけていた。二人で合計四つの金メダルをつけていたのだ。今がオリンピックでなかったら二人とも間違いなく公然わいせつ罪で逮捕されていただろう。いや、オリンピック中だってその可能性は十分にあった。現に二人は今日だって何度も職質されたのだ。「あの～、その恰好はなんですか？」と職質される度に二人はこう答えたものだった。
「今は大事な時、私たちの熱意を日本代表に届けたいんです！私たちがつけてる金メダルみてください！お巡りさんも職質なんかしてる暇があったら私たちみたいに日本代表を応援してください！」
ああ！その結果がこれだ！日本はノーメダル！しかも全部ダントツの最下位！二人の格好の凄まじさに暴徒達すら近づかない！ただ遠巻きにして写真を撮るものがいるだけだ！周りでは未成年も含めた若者と心はいつも１７歳の４０代の暴徒たちが車を押し倒し、警察と取っ組み合いになっていて、またSNSでは二人の姿がさらし者され大恥中の大恥になっているその時、二人は沈黙し、互いを見つめていた。お互い言葉をどう切り出せばいいのかわからず、頭傘をかぶったまま全裸の金メダル状態で深刻な顔をしている。しばらくの沈黙の後、今度は男が口を開いた。
「ああそうかい！今度という今度は本気なんだな！わかったよ！オリンピックも終わったし、もう俺たちは離婚でいいんだな？へっ、明日区役所に離婚届取りに行くから覚悟しとけよ！その時になって離婚したくねえとか抜かすんじゃねえぞ！」
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