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翌朝、食卓にトーストに目玉焼きにサラダにヨーグルトと、両親が亡くなって以来の朝食らしい朝食が並んでいた。
挨拶とお礼を告げ、全てを美味しく頂いた後、身支度を調え一緒に部屋を出た。
このビルは一見普通の雑居ビルだ。
1階には小さな花屋と書店。
2階以上は中小の企業がオフィスを構えている。
それが表向きだ。
けれど、本当はこのビルに入っている店舗も企業も全てCH管理局の偽装なのだ。
昨日投げ飛ばされた道場は地下にある。
CHの存在自体、公表されていないし、国家機関にこのような部署があることも公表はされていない。
「なんのために?」
僕にはまだ分からないことばかりだ。
「よう! おはよう!」
ビルの前には大地が待っていた。
僕の肩に腕を回し、耳元で聞いてくる
「で、同棲生活は順調か?」
「ど、同棲ってなんだよ! 黒木さんにも失礼だろ!」
慌てふためく僕を見て、大地は大笑いをしている。
一通り笑って、涙を拭いながら言う
「おい! 綾那! お前、からかいすぎだよ! ほどほどにしてやれよ」
と綾那に顔を向ける。
すると綾那は今までとは違い、悪戯っぽい笑みで
「だって、蒼太っち、かーわいいんだもんっ! ホーントからかいがいがあるんだからー!」
何コレ?!
これから僕、大丈夫なのかな?
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