第2章 動き出す運命 / 決意

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ドンッ―― 「ごめんなさ……」 大きな手で口を押さえられ、軽々と抱え上げられ手しまった。 「おねえちゃんに何するんだ! はなせ!」 律が、私を抱え上げた大きな男に向かって掴みかかったのが見えた。 「じゃまだ、どけ」 野良犬でも払うように、軽々と律を押しのけるが、律も必死にしがみつく。 「おとーさーん! おね……んぐっ……」 ガツッ―― 鈍い音とともに、律は男に蹴り飛ばされ地面に放り出された。 「ん――! ッン――!!」 必死で身体を捩り、男の手を振りほどこうと必死に藻掻くが、子供の力などたかが知れている。 大柄なその男の拘束はビクともしない。 それでも抜けだそうと必死で藻掻いていた。 「うぐっ……」急に男の拘束が緩んだ。 その隙に、なんとか男の手を振りほどき、律の倒れた方に走り出した。 その時、一台の車がタイヤを軋ませて停車し、男を乗せて猛スピードで走り去っていった。 「綾那! こっちだ!」 それまで見たこともない怖い顔で、父が立っていた。
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