143人が本棚に入れています
本棚に追加
/186ページ
こんなもので分かるとも思えないが、病院からの帰り道、書店に寄って鉱物図鑑を買ってきた。
いくつものページを繰りながら、自分が見たものに似た写真を探す。
何度も見返して、似たもののページを読みあさった。
「けど、これ意味あるのか? 体から出てきたもんだぞ」
我に返ってベッドに鉱物図鑑を放り出し、寝転んだ。
「何やってんだか」
大きく伸びをして起き上がり、キッチンに向かう。
僕はこの部屋で一人暮らしをしている。
父と母は昨年事故で亡くなった。
兄弟はいない。
こんな変な症状を相談する相手もいないが、誰かに心配をかけなくて済むことは、ちょっとほっとしている。
帰ってからずっと鉱物図鑑を読みあさっていたので、まだ食事もしていなかった。
冷蔵庫から、さっきコンビニで買ってきた弁当を出し、電子レンジに入れた。
「しばらくしたら病院から連絡がくるだろう」
電子レンジの中で、ゆっくり回転する弁当を見ながらつぶやいた。
一週間。
少なくても、それくらいはかかるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!