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「あ! ダメ!」
一番おとなしそうに見えた春花ちゃんが急に声を上げた。
すると、春花ちゃんのパーカーの首元から、真っ黒い子猫がちょこんと頭を出し、肩の上によじ登ろうと必死に短い前足を伸ばして爪を立てている。
「痛いよ! ダメ!」
「あらぁ? どこから来たの? この仔」
紅さんが驚きと優しげが一緒になったような顔で子猫を抱き上げた。
「そうだ! 剣持くんこの仔ここで、この子たちと一緒に飼ってもいい?」
クシュン。
未来ちゃんが鼻を擦りながら「わたし猫アレルギーなんです」と、反対側のさなえちゃんは怯えたような表情で、後ずさっている。
「じゃぁ、春花ちゃんはこの部屋にしましょうか! あなたたちは猫、大丈夫よね?」
紅さんは満面の笑みで、僕と綾那を交互に見ている。
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