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第2章 動き出す運命 / 綾那と大地
新しい家でも、やっぱり黒木 綾那は一緒らしい。
でも、今度はそれぞれの個室があるので少し安心した。
綾那は、長い黒髪が美しく、仕草に合わせサラサラと軽やかに揺れる。
意志の強そうな漆黒の瞳と、凜とした佇まいが、どこか和服姿を想像させる。
僕だって女の子が一緒にいたらドキドキする。
するに決まっている。
お風呂上がりで火照った頬に、シャンプーの匂いなんかさせてたら、平静でいられる自信がない――
だから、お願いだから綾那さん、そんな無防備にお風呂上がりに、近づかないで下さい!
ソワソワしている僕を不思議そうに見ながら問う。
「蒼太さん、今日は慣れたいことをしてお疲れではないですか? マッサージでもして差し上げましょうか?」
「だだだ、だい、大丈夫です! お、お風呂に入って一晩寝れば問題ないです。はい。大丈夫です。だから、お風呂に入ってきます」
僕は慌てて、風呂場に飛び込んだ。
「はー」
ため息が漏れた。
僕はこれから本当に大丈夫だろうか?
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