第2章 動き出す運命 / 決意

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第2章 動き出す運命 / 決意

「ハァ、ハァ、ハァ……、もう一度お願いします」 ――今のままじゃダメ、もっと強くならないと。 綾那は、つややかな黒髪を一つに結い上げ、剣持と武術の稽古をしている。 スチームパンク女の襲撃以来、暇さえあれば道場や局の訓練場で訓練をしている。 ――あんな女に負けるなんて。 また、あんなことになるのは絶対にダメ。 二度と危ない目に遇わせない。 そのためには―― *** ――――七年前、綾那十歳。 「おねえちゃん! 待ってー」 玄関を慌ただしく飛び出し、姉に声を掛ける二歳年下の弟、(りつ)。 「おそいよー! おいてっちゃうよー」 と、言いながらも振り返り足を緩め、弟に手を差し出した。
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