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第5章 奪還作戦
「何かあったの?」
リビイングで綾那がうつむいて座っていた。
「うん……。
十一歳の女の子がね……採集者に連れ去られちゃったんだって……
あたしも小さい頃、攫われそうになったことがあるから、何か気になっちゃって……
あたしじゃ何にもしてあげられないかもだけど、何かしてあげられないかって思っちゃって……」
そうだ前に大地に聞いた話だ。
その時のことが原因で、家を離れたって。
そりゃ綾那にとっては、確かに人ごとではいられない。
僕だって、あの偽医者に連れ去られそうになった時は、すごく怖かったもの。
十一歳の女の子じゃ、もっと怖い思いしてるよな……
「うん……聞いた。
きっとさ、剣持さん達がきっと何とかしてくれるよ!」
なんとも人任せな話しだとは思うが、こんなことしか言えないのが情けない。
「僕らに出来ることなんて、たかが知れてるけど……出来ることがあれば何でも手伝うよ。きっと、無事に戻って来るよ」
「ありがと」
綾那はぎこちない笑みを浮かべた。
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