音楽室のピアノ-3-

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「……何やってんだ? 俺……」  燻り始めた恐怖に打ち勝つため、霖之助は小さく呟いた。  ――と。 「……な、何か、聞こえる?」  足が縫い付けられたように動かない。  目だけで音が聞こえた方向を探す。  気のせいかと思った。思いたかった。  が、音は確かに聞こえていた。  それが、聞き慣れたものだから間違うはずがない。 「ピアノの音……」  目は、二階の角の教室を捉えた。  灯りは点いていない。しかし、音は確かにそこから聞こえている。 「これ、子犬のワルツ……」  発表会のために、練習していたことを思い出した。でも、結局自分では納得できないままのできだった。  そういえば、これを完璧に弾いていた子がいた。いつも一緒の発表会に出ていた。  記憶が蘇る。  が、最後の発表会にはいなかった―― (あの子の音色みたいだ)
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