音楽室のピアノ-3-

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 親友が、薄っすらと笑みを浮かべた。最近あまり見なかったが、それが彼女本来の顔だ。  この学校の夜の主――トイレの花子さんは、ふわりと赤いワンピースを揺らした。  華子は不安になった。 「どしたの?」 『ハナを追ってきたのよ』 「えっ⁉ だ、誰が……」  ふっと浮かんだのは、直也だった。 「まさか、直君?」  華子の答えに、この小学校の主は小さく首を振った。 『もう一人いるでしょうが』 「えっ? 誰?」  不安が募る。  自分のせいで、変なことに巻き込んでしまうのではないか。  華子の表情に、花子がふっと息を吐いた。それは、華子の親友の顔だった。 『あっちが勝手に入ってきたんだから、ハナが気にするこたぁないわよ』 「でっ、でも……!」 『あたしも、油断してた。まさか、このピアノまで聴こえちゃうとはね』  音色が響く。  これは、やはり霊感がない人に聴こえないのだろうか。  華子の胸の奥が、どうしてかちくりと痛む。 (な……なんだろう? ちょっと苦しい気がする……)
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