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『呼ばれたのかしらね……』
花子は、そう言った後、にやりと笑う。
『久々のお客様だから、おもてなししてあげましょうか』
「ちょっ、ちょっと!」
すぅっと踵を返した花子の後を、華子は慌てて追いかけた。
その間も、ピアノの音色は夜の校内に響いていた。
(あれ……さっきより……)
『みんなぁ! 集合! 歓迎会よぉ!』
「もう! 花子!」
音色に浸っている暇はなかった。
見えない何かが、蠢いている。耳元で、ざわざわと音が流れていった。
でも、嫌な感じはしない。寧ろ、遠足に行く前の子ども達のようなワクワク感に近い。
(どうしよう)
花子達が待ちに待った生贄は、華子の知り合いだ。
『心配しない心配しない。ちょぉっと驚かすだけだから』
「心配するわぁ!」
ワクワクしているお化け達には悪いが、どうにかしなければ――
来テ……
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